入学式メッセージ

最終更新日:2016年7月20日

 佐保路も春らしくなってきました。

 新入生の皆さん、保護者の皆さん、ご入学本当におめでとうございます!
 一条丸への乗船を歓迎します。

 私は民間校長なので、通常の式辞とはスタイルを異にして「よのなか科」の授業をやってみようと思います。正解のない課題を大人と子供が一緒になって考える授業です。今日お話しするテーマを帰ってから親子で議論していただければ、親と子の「よのなか科」になります。

 まず、いきなりですが、今後10年の間に、君たちに一番影響を与える社会変化は何だと思いますか?どんなことが、一番影響が大きいでしょうか?

 日本だけのことを考えれば、少子化とか高齢化というかもしれませんね。また、君たちだけのことを考えれば、それは、15歳である君たちが25歳になっていること。もう結婚しているかもしれないしね。

 でも、世界的な視野ではどうでしょう。

 世界の50億人がスマホでつながることだと言われています。映像で人類がつながってしまう。言語の壁を越えてしまうかもしれません。

 そして、そのネットワークに人工知能(AI)がつながること。つまり、君たちの生活のあちこちでネットとつながったロボットがいろんな働きをするようになる。

 ロボットと言っても、ASIMOやペッパー君のような人型をしているとは限りません。

 いまだって、iRobot社のルンバのようなお掃除ロボットが活躍している。もう少しすると冷蔵庫も「冷蔵君」というロボットになって、君たちがコンビニで買ったものをいれるとバーコードで賞味期限を判断して足りなくなると自動的に発注するようになるでしょうね。車はもう「移動君」という名のロボットで、お父さんの母さんが不得意な縦列駐車を自動的にやってくれる機能を搭載しているし、高速道路での車線変更も自動運転でできる。ロボットに乗り込むというと君たちならガンダムを思い浮かべるかもしれませんが、車はもうそうなってますね。さらに、君たちのスマホだって、10年以内にほぼすべての知識がネット上に蓄積するから、(のび太くんにとってのドラえもんのような)秘書になっていくでしょう。「通信君」という名のロボットと一緒です。

 さて、ここで、もう一つ質問です。

 人工知能が急速に発達していくと、人間の仕事が奪われ、人類の脅威になるということがいま、世界中で議論されているのですが、君たちはどう思いますか?

 ネットワークとつながった人工知能の高度化は、人間にとって脅威でしょうか?

 私はこう考えています。

 ネットワークが広がれば広がるほど、人工知能が高度に発達すればするほど、人間がより人間らしくなるはずだと。人間は、人間じゃなきゃできない仕事をするようになり、人間本来の知恵と力が生きてくるだろう、と。

 学校の先生の仕事が良い例ではないかと思います。

 どんなにネット上に知識が蓄積しても、その前に立つ先生の仕事はなくならない。君たちを動機づけたり、時には叱咤激励したり、背中を押したり、勇気づけたり。

 だから君たちにも、ネットと人工知能の時代に入るこのときに、一条高校で人間として必要な知恵と力を、その基礎力を身につけてほしいと思うのです。

 「奈良発フロンティアへ」が君たちへのメッセージです。

 ネットワークと人工知能の時代にも、奈良の伝統文化をしっかり勉強した上で、すべての領域に開けてくるフロンティアを開拓していってほしい。

 ネットワークと人工知能が結びつく技術と、人間の知恵と力が掛け合わされたところに、フロンティアが開けていきます。介護でも、保育でも、教育でも、はたまた寺社仏閣の継承や奈良の伝統文化を保存する仕事でも。

 「奈良発フロンティアへ」、君たち一人一人が独自のフロンティアを切り開いていってください。

 Discover a frontier.
 Discover your frontier.
 Discover your own frontier!
 です。

 ところで、保護者の皆さんに2つお願いがあります。
 一つはスマホについて、もう一つは部活と勉強の両立についてです。

 スマホの扱いについて、学校の中では、先生たちが慎重な協議をしてすでにルールを決めてくれています。したがって心配ないのですが、一歩学校を出てからのルールは各家庭で決めてもらわなくてはなりません。本日帰ってからでも、よく生徒と話し合ってみてください。

 この学校では、部活が盛んです。素晴らしい風土だと思います。ただ、とくにスポーツ系の部活では、激しくやれば疲れますから、家に帰って夕食を食べたら眠くもなるでしょう。私もそうでした。だから夕食前にちょっとだけ15分とか1時間とか遅めの昼寝をしてました。2時間寝たら、朝まで起きないかもしれませんしね。生活習慣を工夫する必要があるかもしれません。勉強と部活の両立についても、しっかり話し合ってみてください。

 さあ、一条丸はそろそろ船出です。
 一緒に、良い旅をしましょう。

 Bon voyage!